悪夢と声
~SIDE A~
誰かが ぼくを
狭くて暗い場所へ 押しこめる 
ぼくは 出して と叫ぶけれど
誰かは手を 差し伸べてはくれない
ただ
ぼくに 何かを言っている 
でも ぼくはこわくて 
さびしくて 
必死に出ようと 腕を伸ばす
最後に 蓋がとじられて
 ぼくの世界はまっくらになる 
そこでいつも 目が覚めるんだ
~SIDE B~
ああ 神様 
ああ なんということだ 
 
なんだ なにがいけなかった
あの娘に 
あの娘に何の罪があったというのだ 
どうして どうしてなんだ
ああだめだ 考えるな 
走れ
とにかく 今は走るんだ 
ここだ
たしかここにあったはずだ 
古い水路 
わたしが子供の頃 よく通った 
湖に通じる 枯れた水路が 
大人はとても入れない
でも この子だけならきっと
進めるはずだ
ああ かわいそうに
泣かないでおくれ
すまない どうか許してほしい 
お前にひどい嘘を言う
----母上はもう先に行った
 おまえも早く行きなさい 
----湖へ出たら いいかい?
フクロウの像で待つんだ
そこから決して 動いてはいけないよ
----少し遅れるが 私も必ずあとで行く
 だから早く行きなさい 
わたしは これから死ぬだろう 
中央からの助けは 
おそらく 間に合わない 
もうお前とはお別れだが 
どうか
どうか生き延びておくれ 
そして 出来る事なら
今日と言う 悪夢のような日を 
永久に 忘れ去りなさい
ドレイクの悪夢。
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