雨が止んだら
誰が語り始めたのか
どこから伝わったのか
どれほど昔のことなのか
何もわからないまま
ただ伝わり続ける御伽噺がある
世界のどこか
誰も知らないどこかに
誰もたどり着けない 庭が眠っている
そこは朝も夜もなく 生も死もない
深い花畑と呼ばれる場所
薄紅色の花が 地の果てまで咲き誇り
決して止むことのない小雨が 静かに降り続ける庭
その庭を護る者は
顔を持たない 子供達と
声を持たない 赤毛の男
子供たちはただ 歌い続け
男はただ 花を摘み続ける
時が止まったかのような
静かな 静かな庭
もし
その庭の「雨」が止んだら
人々は 思い出さなければならない
もし、雨が止んだら
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